アロアロヨシさんの♪映画ブログ、「
懐かしの映画編」の1番目は
『幸福の黄色いハンカチ』 (しあわせのきいろいはんかち)です
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高倉健さんが、今月10日午前3時49分、都内の病院で、悪性リンパ腫のため、83歳の生涯を閉じました
昭和の日本映画の、最盛期を支え、硬派でシリアスな演技を得意とし、寡黙な男性を好演
1984年、日本生命のコマーシャル「自分、不器用ですから」の名セリフなど、謙虚な人柄が多くの人に共感を与え、男女の別や世代を超えて、人気を博しました
健さんは、1931年2月16日、福岡県中間市(なかまし)生まれで、祖先は北条一門にさかのぼる
明治大学卒業後、東映のニューフェイスにスカウトされ、1956年に俳優としてデビュー
東映の任侠路線、『網走番外地』、『日本侠客伝』、『昭和残侠伝』などのシリーズのスターとして、絶大な人気を得ました
また、映画の主題歌『網走番外地』や『唐獅子牡丹』を歌い、大ヒットしました。
1976年に東映を退社、任侠映画を脱却し、1977年『幸福の黄色いハンカチ』で、不器用な生き方しかできない刑務所帰りの男を好演
この作品が、俳優・高倉健の転機となり、ファンの層が大きく広がることになりました
その後、同年『八甲田山』、1980年『動乱』、『遥かなる山の呼び声』、1981年『駅 STATION』、1983年『南極物語』、1999年 『鉄道員(ぽっぽや)』と、次々と名画を世に送り出しました
その後、しばらく映画から遠ざかっていましたが、6年ぶりの2012年、降旗康男(ふるはたやすお)監督、『あなたへ』で、205本目の出演を果たし、これが、遺作となりました
また、国内のさまざまな映画賞で主演男優賞を受賞しました
こうした功績が評価され、1998年(平成10年)に紫綬褒章、2006年(平成18年)には文化功労者、そして2013年(平成25年)に文化勲章を受章しています
さらに、『ザ・ヤクザ』や『ブラックレイン』などハリウッドの映画にも出演、『鉄道員』でモントリオール映画祭の主演男優賞を受賞するなど、国際的に知名度の高い、日本を代表するスターとしても活躍してきました
「往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし」
比叡山延暦寺の大阿闍梨、酒井雄哉(さかいゆうさい)から頂いた、座右の銘の通りを、つらぬいた、俳優人生でした
心から、ご冥福を、お祈りいたします
さて、物語は、
網走刑務所から、刑期を終えて出所してきた、高倉健扮する島勇作が、食堂で食事を済ませ、倍賞千恵子扮する、妻・光枝に、ハガキを1枚書いて、出して行くところから、展開し始める
「もし、まだ1人暮らしで俺を待っててくれるなら、家の竿に、黄色いハンカチをぶら下げておいてくれ、それが目印だ、もしそれが下がってなかったら、俺はそのまま引き返して、2度と夕張には現れない」
勇作の過去を知った、武田鉄矢扮する、花田欣也と、桃井かおり扮する、小川朱美は、「光枝が俺を待っているはずはない」と、臆病になる勇作を励まし、夕張の町に入って行く
高倉健の渋い演技と、武田鉄矢の初めての映画出演、桃井かおりの、山田洋次監督にイントネーションの変更を要求されて、50数回取り直ししたという、独特のセリフ回しが相まって、観客を飽きさせないで、ストーリーが進行していく
そして、ラストシーン
アロアロヨシさんの♪おすすめ名シーン作品すべての中に、名シーンが数多く登場するが、たった1つ上げるとすればここでしょう
欣也と朱美に促された、勇作が車から降り、黄色いハンカチがハタめく竿に向かって、足早に歩いて行く、背中・・・
洗濯物を干している、光枝が見える
近づいて来る勇作に気付く光枝
足が止まる勇作
無数の黄色いハンカチをバックに、カメラ・高羽哲夫の映像美と、佐藤勝の音楽が、ラストシーンを盛り上げる
高倉健の演技の真骨頂
それを知り抜いた、山田洋次監督が、余分なセリフやアクションを、徹底的に省いた、再会のラストシーンで、物語は感動の幕を閉じる
最後に、ちょっと、おまけがありますけど・・・

原作は、1971年に、『ニューヨーク・ポスト』紙に掲載された、ビート・ハミルのコラム『Going Home』
コラムのヒントをもとに、山田洋次監督が脚本を書き下ろした
ワクワクのストーリー展開と、
全てが凝結したラストシーンは、ぜひ、本編でご覧ください
高倉健の著書は、
『あなたに褒められたくて』 集英社文庫(1991年)
※1993年の「第13回日本文芸大賞」エッセイ賞を受賞
『旅の途中で』 新潮社(2003年)、新潮文庫(2006年)
絵本『南極のペンギン』 集英社(2001年)、集英社文庫(2003年)
「自身の体験を子どもたちへ伝え、エールを送る」というコンセプトで制作された
絵画担当は唐仁原教久(とうじんばらのりひさ)
フォトエッセイ『想 俳優生活五〇年』 集英社(2006年)
その他に、監督・降旗康男が語る、東映キネマ旬報 2012年夏号 Vol.19 「俳優・高倉健との仕事」
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あの頃映画 the BEST 松竹ブルーレイ・コレクション 幸福の黄色いハンカチ [Blu-ray]
出演:高倉健、武田鉄矢、桃井かおり、倍賞千恵子
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
音楽:佐藤勝
撮影:高羽哲夫
tag : 懐かしの映画
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